2026/07/30
研究室はフリーアドレスだ。細長い机の長辺を挟むように6つの席が向かい合い、12人分の席がある。椅子の前にはディスプレイがあるので、向かい合って座る人の顔は見えない。入口の目の前に机の右端の席があって、そこから数えて5番目、マルチコピー機の前の席に陣取っている。たまに人がコピーを取りに来て背後を通る緊張感がある。入口から人がきたときに挨拶しやすい距離になるのもポイントである。仕切りを挟んだ向こう側に2つ昇降デスクがあるが、さぼりすぎるので使わない。
留学生はそのさらに左隣の席に座っていた。有志で彼と夕食を食べに行って、別れを告げた。彼は2カ月しかいなかったがなぜか学会(NeurIPS!)のworkshopに出す原稿ができていて、つまりは優秀だった。どう研究を進めているかはよく見えた。しかしなんでうまくいくのかわからなかった。物怖じしてないなあ、というぐらい…。というかわかっていれば俺もうまくいっていたんだろう。もちろんテーマの差はあるが、俺だってテーマを変えたのにうまくいっていないので、なにがしか俺に原因がある。就職をするということで将来的な進路については見切りをつけたわけだが、いずれにせよ6か月かけて修論をまとめる必要がある。その間どういう気持ちでやっていけばいいのか。
研究テーマは全然違うので中身の具体的な相談はあんまり何も言えなかった。アヒルのおもちゃ以上の意味はなかった。研究室固有のインフラの使い方などを伝えたりしていた。GPUクラスタがぶっ壊れたときになんとかしてくれて助かった、とはいうが、そのクラスタを管理しているのは俺なんだなあ。俺が起こした問題で感謝されている。たまにいいことするヤンキー。もやもやする。たしかにクラスタの管理をしているのは俺だが、クラスタの理想的な状態(すなわち安定的にマシンやストレージが使えて、クラスタの存在を安全に忘れられる状態)を作れていないのも俺である。ああ。
ともかく日本を楽しんでくれたようでよかった。スイスで留学生としてメンター(もう超いい奴でした)にお世話になった直後だったし、俺もとりあえずいろいろ話しかけるようにはした。正の効果があったと思いたい。
やっぱり後輩とか干渉する相手がいるほうが張り合いは出る。こんなのの後輩になるなんて君らは運が悪すぎる…と言いたくなってしまう(流れるような自虐!)。パソコン部長もやってたんねえ。たぶんメサイアコンプレックスがある。
自分に勇気があるとすれば、それは後ろ向きに歩く勇気と言える。後ろに何があるのかは見えない。何も見ないままのほうが歩ける。一歩後ろに下がると地面がぬかるんでいたり、崖から落ちたりするかもしれない。何も見なくていいが、すべては運の問題になる。より結果を確実にしようとするならば、前向きに歩かざるを得ない。前には他人がいて道があって動物がいて草木が生えている。そいつらを向き合わなくてはいけない。その勇気はない。
昨日は友達と飲んだ。嘘の街(?)二子玉川の水辺いい感じだった。平べったい。隅田川の自分の家から近い区間はベンチはあるが、あんまり草に座るって感じでもないんだなあ。高さがあって水からも遠い。lovelyな話ができた。やはり資本論をいつか読みたい。
東京で良い飯を食うのは大変だ。レモンサワーは薄いし、サーモンは(照明が黄色かったのもあるが)あまりに鮮やかなオレンジ色をしていて、もはやオレンジそのものであった。太平洋に面した急峻な斜面で、日光を受けてサーモン刺身がオレンジ色に輝いている。どこにでもある生中は落胆しない。