缶詰

都知事選2024

結論:個人的には選挙のやり方としては安野たかひろ、政策としては蓮舫かなと思って、蓮舫に入れました。ボロ負けしちゃったね!!

安野たかひろ

ITを活用した民主主義、その具体例としての選挙スタイルの提示がおもしろいと思ったので注目してた。

ボランティアで掲示板にポスターを貼った。西日暮里、田端、御茶ノ水、湯島、志村三丁目の周辺に、合計40枚。システムとしては、新宿やら東京でポスターをもらってから、Google Map上のピンがある場所に向かう。貼ってからLINEで伝えると、それがGoogle Mapに反映される。当初の更新は手動なので、ラグがかなりあった。最終的にはいい感じのシステムができて、都内1.4万箇所全部に貼れたらしい。

自分はポスターを貼ったのは初めてだった。位置ゲーっぽくて楽しかった。まあ、N国がゴミなのでN国以外全部応援する気持ちもあった。別に手伝った候補に入れる必要はないので、広がりのある民主主義をやっていこうぜ、という気持ちで貼ればいいと思う。そもそも主要候補はリソースがありすぎてポスター貼りなんか1日で終わらせるので、素人が入る余地がない。ところで、隣の枠のドクター中松は全部の掲示板にポスター貼ってた。何なんだよこの爺さん。しかもどれも綺麗に貼られている。業者頼んだのかな。ドクター中松のポスターは背景が真っ赤で、安野ポスターはその左隣なので、わかりやすくて助かった。

掲示板

その一方で、GitHubを使ったマニフェスト編集にはちょっと無理があると感じた。 謎の設計図共有サイト を使える都民は相当限られていて、偏っている。宣伝にはなったのだろうか…?計算機屋さん界隈の中にいると、「オープンソース」「東大松尾研」がどれくらい人口に膾炙しているのかわからない。 g0v.tw のAudrey Tangも忘れ去られてるのかもしれない。Twitterでエンジニアがこのリポジトリを持ち出して「これでエリート層は押さえた」とか傲慢なことを言うので反吐が出そうになった。

「AIあんの」はYouTubeだけじゃなくて電話回線に対応させたり、幅広い層に届けようという努力があった。マニフェストについても、直接Pull Requestを出す以外でも、他のチャネルから受け取った情報・要望をスタッフ経由で反映させたりしていたので、それを主に据えれば十分だと思った。ところで現時点でネット経由の意見収集は結局自民がちゃんと経験積んでやってるなあという気がする。PoliPoliにせよニコ生(層はともかく)にせよ、チャネルが広い。

また、選挙の形・やり方と比べて、都知事としての中身の政策にはあまり共感できなかった。ボートマッチでも全部うっすら賛成or中立って感じで、結局都市開発・税・経済・人権など、マニフェストで語られていない部分をどうしたいのかわからなかった。小池知事の政策クラスを「継承」して、IT分野だけ @override するわけでもあるまい。

選挙期間中にマニフェストがころころ変わるのには良い面と悪い面があった。明らかにやったほうが得なんだがなぜか忘れ去られていた話題をその場で追記していけるのは嬉しいが、立場によって意見が分かれる話題については十分議論されたとは言い難い。予算の1%で執行できる政策パッケージが出てきたのもかなり終盤になってからだった。

礼儀(これも危うい概念ではある)が失われた選挙で、わりと品よく振る舞っていたというだけで逆に目立って5位に食い込めたところはあるのかもしれない。政策がなかったために他と衝突しようがなかったともいえる。あと、テクノロジーには強いがネット広報には弱い。これは石丸陣営を見ていればよくわかる。

石丸伸二

知り合いが推していた。その人は維新も推していたので、まあ、バイアスを持って見てしまった。「政治屋の一掃」を謳っていたとはいえ、思想のない中立でプレーンな実務家の顔をしているわけでもなく、なにがしか進みたいところがあるようには見えた。どこかはわからなかった。

10代20代の支持が多かった。ネット選挙戦略、というよりは市長時代の発信の成果だと思う。YouTubeがメインなので文字形式のマニフェストがどこにあるかわからずじまいになってしまった。政見放送を見ても政策の3つの柱を提示して「あとはネットで探してみてね」といわんばかりの誘導だったし、実際空中戦は強かった。街頭演説の効果はどうだったんだろう(コミュニティノートが荒れてた)。クソ暑くて結局自分はどの陣営も聞きに行かなかった。

蓮舫

ぎりぎりを攻めたポスター貼ったり、支援者が他候補の演説に喧嘩売ったりして、そういうのはなんだかなあと思ったが、まあ主要候補はどこも何かしらゴタゴタしてる(あるいは表に出てこない)しなあ…いやそれもなあ…みたいなもやもやした感じ。政策はマニフェスト読んだ感じでもボートマッチでも、自分の考えに一番近そうだった。パートナーシップ制度の使い方が新鮮だったけど、マイノリティは票にはならんのだなあ…。


「右でも左でもない」というような文句を見るとぞわぞわする。中立の顔をしたのが案外気軽に学校潰したりする。あと、毎回有権者として「政策実行能力」みたいなのを測りかねている。結局「国政経験があるならそのほうがいいんじゃないの」とふんわり考えてしまう。まあ実務も大事なんだろうけど、それをやるのは官僚機構の仕事じゃない?


都知事選はお金がかからない割に目立てる選挙だ。12兆の予算を司るリーダーを選ぶことが主目的ではある。そしてそれとは別にどうしても物申したい個人がなんか突飛なアイデアを披露してみる場としても機能している。たかだか4人の主要候補が殴り合っている間に、数十人の泡沫候補が楽しくおしゃべりする。どうせすぐには当選しないんだから、それでいいんじゃないかと思う。おそらく、自分はそこにスイスの国民投票と共通するものを見出している。安楽死制度を通すまでにたしか2回ぐらい投票して否決されて、3回目で成立したんじゃなかったか。